(2.2.1.1 大腸菌群陰性試験の自動計測(p,13~)を参照してください)
大腸菌群検査は、大腸菌群が陰性であることを確認するために実施されています。
“微生物がいないこと” を確認するということは、検査では何も検出しないことなのです。
いつ検査を終えればよいのか分からないのですが、これでは陰性試験が自動化できないのです。
培養法を自動化がするには、①培地の培養性能の把握、➁検査プロトコル設定、が必要です。
マイクロコロニー法を採用したAutoScannerが製品化されたことにより、①を確認して、
➁を設定したうえで、大腸菌群 陰性試験 の 全自動化 が 確実 に 実施できています。
培地性能は、回収率だけで評価するのではなく、培地が、対象微生物の増殖をいかに良く
サポートしているかを確認して評価します。
AutoScannnerの作成する 性能グラフ(コロニーカウウントグラフ,ヒストグラム )を
作成して確認します。
デソキシコレイト寒天培地を、標準菌株NBRC 3972(日本薬局方に記載)を用いて、
次のステップで性能を評価します。
ステップ1 試料の菌濃度は1,000cfu/ml程度にします。
(正規分布を得るためには、サンプル数は多い方が好ましいのです)
ステップ2 この試料1mlをデソキシコレイト寒天培地に混釈します。
それと同時に,同じ試料1mlを標準寒天培地に混釈します。
ステップ3 AutoScannerで同時に培養し、デソキシコレイト寒天培地の性能グラフと
回収率を得ます。
AutoScanner は,寒天培地 を 使い捨て “生菌センサー” として使用していますので、
培地の選定は重要です。
(デソキシコレイト寒天培地の性能もメーカーにより異なります)
大腸菌群は、グラム陰性の無芽胞性の桿菌で、乳糖を分解して酸とガスの両方を生ずる好気性または通性嫌気性の菌と言われています。大部分は腸内細菌ですが、土壌、沿岸海水などに広く分布しており,例えばAeromonas, Citrobacter,Klebsiella,Escherichia,Enterobacterなどが含まれます。
この中でも、エロモナス(Aeromonas)の増殖が遅いと言われています。
解析の設定は、定量試験のコロニー検出設定(☑繋がり防止ON)を使用します。
全ての大腸菌群の陰性試験を保証するには、一番増殖の遅いとされている大腸菌群の菌を使用して、検査に採用するデソキシコレイト寒天培地で培養して、プロトコル時間を設定します。
エロモナス標準菌株の菌濃度1,000cfu/ml程度の試料1mlをデソキシコレイト寒天培地に混釈して培養します。
大腸菌群陰性試験は、培地中に存在するエロモナス全部が増殖して検出される時間に、ガードバンドとして1時間ほど加えた時間をプロトコルとします。
プロトコル時間まで、何も検出されなければ、大腸菌群 陰性 が確認されたことになります。
これは、牛乳試料中の大腸菌群の検査をデソキシコレイト寒天培地で実施した例になります。
大腸菌群が検出されれば、次のようになりますが、
プロトコル時間まで、何も検出されなければ、大腸筋群は 陰性 といなります。
AutoScannerには,光源の色(グレイスケール,赤,青,緑,NTSC)を選択できるモードがあります。
また、受光部には,ソフトウエアの色フィルターが装備されています。
このフィルターにより,任意の受光の色を選択できます。大腸菌群の陰性試験にデソキシコレイト寒天培地を使用したときは,光源を赤色モードで,同時に受光も赤色で検出できます。
前例が,牛乳のデソキシコレイト 混釈 寒天培地による 赤色検出の例になります。
デソキシコレイト寒天培地での検出も迅速で,公定法を全自動化した実例です。
カラーモード
カラーマスク