嫌気性菌クロストリジウムも自動迅速検出計数します。

嫌気性菌クロストリジウムも自動迅速検出計数します。

  クロストリジウムの検出と「嫌気性菌検出のバリデーション」

クロストリジウムは高温でも殺菌が困難な食中毒菌であり,クロストリジウム属はチオグリコレート寒天培地中でないと増殖できないとされています。嫌気性菌検出のバリデーションのためには,クロストリジウム試料をチオグリコレート寒天培地に混釈して嫌気設定キットで嫌気にし,MicroBio μ3Dにより35℃培養して菌の検出を確認します。次の検出結果は,BIOBALL30をチオグリコレート培地で混釈して検出を確認したものです。
  ※ SCDで混釈して嫌気培養すると,培地内の溶存酸素のため,クロストリジウムは死滅します。
    これでは、バリデーションにはなりませんので、ご注意ください。

 

使用機器: MicroBio μ3D AutoScanner
試供菌株: BIOBALL30 [Clostridium sporogenes (NCTC 12935 )]
寒天培地: チオグリコレート寒天培地
試料形態: BIOBALL30を生菌に戻して混釈し,嫌気設定キットでパッキング
培養条件: 35℃ 42時間培養
試験結果: 36時間で31コロニー検出 (標準のBIOBALLが1生菌多かったもの)

 

      42時間培養後 影像とマーカー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記のグラフは検査時にも表示できます。自動検出計数はグラフが示しているように、この例では36時間で検出計数が31個として完了しています。

 

次のケースは、BioBall30を標準菌株としてSCD寒天培地に混釈してクロストリジウムの検出を確認したものです。
使用機器: MicroBio μ3D AutoScanner
試供菌株: BIOBALL30 [Clostridium sporogenes (NCTC 12935 )]
寒天培地: SCD寒天培地
試料形態: BIOBALL30を生菌に戻して混釈し,嫌気設定キットでパッキング
培養条件: 35℃ 42時間培養
試験結果: 26時間で3コロニー検出(標準のBIOBALL30の生菌が3生菌に激減)

 

          42時間培養後 影像とマーカー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この結果が示すように,検出計数したコロニーが3個と激減しています。 SCD寒天培地で通常通りに混釈しますと,シャーレを嫌気設定キットでパッキングしても培地中のクロストリジウムが死滅してしまいますので,クロストリジウム標準菌株の試料を「SCD寒天培地で混釈」したものでは嫌気性菌検出のバリデーションができないことになります。

 

チオグリコレート培地
米国ではNIH (National Institute of Health) が無菌試験用として採用しています。
日本では第十一改正日本薬局方および日本抗生物質医薬品基準に無菌試験用チオグリコール酸培地Iとして,  生物学的製剤基準および第十二改正日本薬局方第二追補には液状グリコール酸培地Iとして記載されています。また食品衛生指針には容器包装詰加圧加熱殺菌商品(レトルト食品)の細菌試験用として記載されています。
チオグリコレート培地はブロスが販売されていますので,規定量の寒天を添加すれば寒天培地になります。

 

 培地の評価
標準にはBIOBALL30 (SINGLESHOT30 (Clostridium sporogenes (NCTC 12935))を使用し,評価にはMicroBio μ3D AutoScanner を使用することをお薦めします。
培地中に生存しているクロストリジウムの標準分布が確認でき,培地の評価(AutoScanner説明 p.19~21)も確実にできます。